かっこいい大人になりたい。

かっこいい大人に憧れる20代男子のブログ。TOEICとか資格試験とか読書とかニュースとか。

『経済学の宇宙』を読んで経済と働くことについて考えてみた。(その①)

『経済学の宇宙』(岩井克人・日本経新聞出版社)

 

岩井教授がインタビューに答える形式で綴られた,教授の『学問』が主役の自伝。

読み終えて,名講義を受講した満足感を得られると同時に,学者として世界中の大学を回り,知識を吸収し,研究をすすめ,それを発表していく知的生産活動に憧れました。

 

以降,本を読んで自分が「はっ」としたフレーズや「なんかここは語れたらかっこよさそうだな」みたいなポイントをまとめておりますので,当記事を読んでこの本を読んだ気になって頂ければ幸せます。

 

”貨幣そのものの存在理由は、物々交換の困難を取り除き、いつでもどこでもだれとでも交換できる「自由」を人間に与えることです。”(p.98)

 それによってアダム・スミスが「国富論」で述べたように,分業が発展し,資本主義経済はかつてない経済性効率を実現できるらしいです。「見えざる手」ってやつですよね。各人利益を求めて動けばいい感じに収束するってやつです。いわゆる『資本主義』です。

 ちなみにその「資本主義」は資本家の搾取だ!っていって資本主義を批判したのが,マルクスの『資本論』ってやつです。(僕はずっと『資本論』って資本主義肯定派の本かと思ってました。)資本論によって「共産主義」を目指す動きも現れます。

 実際,資本主義のもと産業革命によって労働者は奴隷のように扱われてしまうし,恐慌は起きるし,失業者は増えるし,治安は悪くなるし,見えざる手によって落ち着くはずの終着点にいきつかないじゃん?って時に現れたのがジョン・メイナード・ケインズさんです。

 「雇用、利子および貨幣の一般理論」で有名なあの人です。公共事業とか赤字国債とか適度に運用したら,資本主義っていい感じじゃね?ってな具合です。ちなみにこれ結構な革新的だったらしく「ケインズ革命」とか「ケインズショック」って言われてるみたいです。

 

”「資本主義」とは何でしょうか。それは「利潤」を目的として企業活動が行われる経済システムです。”

 ここで本書では「資本主義の純粋理論」としてシュンペーターを紹介します。ちなみに資本主義の純粋理論では市場の「不完全性」に依拠せずに利潤が生み出されていく可能性を説明できる理論のことだそうです。この問題について,シュンペーターの出した答えが「革新(Innovations)」です。

 

”資本主義が「進化論」的であるというのは,「資本主義のエンジンを起動させ,その運動を継続させていく根本的な衝動が,資本主義企業が創造する新しい消費財・新しい生産方法・新しい輸送方法・新しい組織形態によってもたらされる」ということなのです。まさに革新です。”

 いいかえれば,他企業との「差異」の創造によって他の企業より高い利潤率をもたらすのです。しかし,革新に成功した企業の高利潤率は長くは続きません。そう「模倣」されるからです。そして利潤は低下し,次の革新が生まれるのです。

 なるほど!最近会社のお偉いさんたちが呪文のようにいう「業務イノベーション」ってこーゆうことだったのね。資本主義経済において利潤はマルクスさんのいう「搾取」から生まれるのではなくて,シュンペーターさんがいう「他社より先に生み出す革新」から生まれるのだと。

 

 僕はシュンペーターさんの「革新理論」が現状の資本主義社会を生き抜いていくための答えだと思うな。今の時代に必要とされる人材はこの革新が出来る人なんだろうね。それにしても現代社会の問題とその解答を1911年に28歳という若さで提唱したシュンペーターさん,改めて憧れますわ。

 

経済学の宇宙

経済学の宇宙